PS-228/226 ミスト・スプレー塗油装置

製品概要
PS-228/226は、豊富なシステムバリエーションでミスト・スプレー式塗油の導入を簡単にします。均一な塗布状態は、加工油の削減やカス上がり・カス詰まり等の減少だけでなく、加工精度の安定化が期待できます。流量センサを使用した異常監視、バンクやノズルのONOFFのリモート切り替え等の機能を搭載しています。
デジタル流量制御が可能なPS-228と簡単操作のPS-226があります。
特長
- 加工油の飛び散りが少ない
- 加工油は低圧霧化のため、他への飛散を減らし、材料に良好な塗布が可能です。
- 加工油の使用量の削減が可能
- ノズルごとに塗布量の調整が可能なため、必要な箇所にだけ適量の塗布が可能です。また、プレス装置と連動し加工中のみの塗布となるため、加工油の無駄を可能な限り削減できます。
- 塗布状態の確認が容易
- テストボタンを設けましたので、プレス装置を運転しなくても加工油の塗布状態が確認できます。
- 塗油量の管理の数値化が可能
- PS-228ではデジタル式、PS-226ではカウンターダイヤル式のため、調整性と再現性が向上し最適な状態を数値で管理することが出来ます。
- 流量センサによる監視が可能
- 流量センサのウインドウコンパレートモードを使用して塗布中の流量の監視が可能です。塗布開始直後はセンサ入力を無効にするため、外部に制御回路を設けずに簡単に流量センサの監視が可能です。
- カス上がり検出器との相性が抜群
- ミスト・スプレー式は、従来の給油方式と比較して均一塗布が可能です。安定な油膜を形成するミスト・スプレー式では、カス上がりの原因となる油の過不足を改善するとともに、カス上がりの精度向上が期待できます。
- 最大12ノズル
- PS-228では最大12ノズルまで制御可能なため、幅広い材料に対応します。また、ノズルを使用せずにチューブのみで供給も可能なため、多点給油にも対応できます。
PS-228構成1

PS-228で油用電磁ポンプを使用します。メインタンクに非加圧タンクを使用できます。加圧タンクでは塗布中にタンクへの給油ができませんが、 この構成では可能になります。低粘度(10㎟/s(cSt)以下)の加工油で、比較的塗布量の多い加工に最適です。
PS-228構成2

PS-228で油用電磁バルブを使用します。メインタンクに加圧タンクを使用できます。 低粘度から高粘度加工油(120㎟/s(cSt)以下※)、微少流量から多量まで、幅広く対応が可能です。
※塗布条件により異なります。
コントローラ
PS-228

PS-228は、電磁ポンプおよび電磁バルブを使用して送油量をデジタル制御します。 LCDパネル、2個の霧化エア調整用レギュレータを搭載したモデルです。
PS-226

PS-226は、簡単運用が可能です。2個の霧化エア調整用レギュレータを搭載したモデルで、霧化エアはノズルごとにONOFFが可能です。使用しないノズルで無駄なエア消費がありません。
流量調整器
PS-228

PS-228では油用電磁ポンプおよびバルブを使用します。油用電磁ポンプは加工油の吸込と吐出を行います。
油用電磁バルブは加圧タンクで圧送された加工油の流路の開閉を行います。
電磁ポンプは、加工油の動粘度が10㎟/s(cSt)より低く、ノズル1個当たりの塗布量が2~5ml/min程度の場合に使用ができます。
電磁バルブは、加圧タンクと合わせて使用するため、
低粘度から高粘度(120㎟/s)、微少量流量から大量まで幅広く対応可能です。
PS-228の目的に応じて、電磁ポンプか電磁バルブのどちらを選定します。
電磁ポンプおよびバルブをデジタル制御することで、塗布量の調整が簡単、塗布条件の切り替えもバンク呼び出しで可能です。
さらに、ニードルバルブなどで通過面積を減らして流量を絞る方式と比較して、間欠的に流量を絞るONOFF制御方式は、詰まりにくく微少流量の調整性が優れています。
PS-228は電磁ポンプおよびバルブをDC24Vのパルス信号により制御します。塗布量は、パルス信号のON時間[駆動パルス幅]および周期[駆動周期]を変更することで調整します。

塗布量は、駆動パルス幅が長い、駆動周期が短い(駆動周波数が高い)と多くなります。

*油用電磁ポンプおよびバルブは約1~30Hzで駆動可能ですが、流体は動粘度、配管抵抗等の影響を受けて上図のような矩形波的な挙動になりません。したがって、測定した流量ml/min÷ショット数から算出したワンショット量を用いて、別の駆動条件の流量を算出しても実測とずれが生じます。
*電磁バルブの場合、駆動パルス幅が駆動周期より長くなると、常に開となります。このときの流量は加圧タンクの圧力で決まります。電磁ポンプでは、20msを超えた駆動パルス幅を設定すると、内部プランジャがストローク端に達して流量に変化が出ません。加工油の動粘度および周期によっては内部プランジャが正常に往復動作をしないため、流量が低下することがあります。
PS-228制御モード
電磁ポンプおよびバルブのON時間[駆動パルス幅]および周期[駆動周期]とは別に、使用環境に合わせて最適な塗布をするために、制御モードがあります(*)。
(*)ノズルエアは制御モードと関係無く、プレス加工中は常に出力されます。
制御モード
- 周波数制御
- 複数の電磁ポンプおよびバルブの駆動周期をまとめて変更可能です。標準的なモードです。
- パルス同期
- カム信号がONしている間のみ送油するなど、カム信号に同期したモードです。ロボットアームで搬送するワークへの塗布、金型が開いている間に金型内への塗布などタイミングに合わせた塗布に対応します。
*送油のみの同期です。霧化エアは連続で出力されます。
- カム信号がONしている間のみ送油するなど、カム信号に同期したモードです。ロボットアームで搬送するワークへの塗布、金型が開いている間に金型内への塗布などタイミングに合わせた塗布に対応します。
- 流量パルス数
- カム信号と流量センサからの流量パルス信号を使い、1回のカム信号で、設定した流量パルス信号数になるまで塗布を継続します。間欠塗布で、流量センサを使用した定量塗布が可能です。
- 自動調整
- 流量センサからの流量パルス信号を使い、1分当たりの信号数が設定値になるように電磁ポンプおよびバルブの駆動周期を調整します。
PS-226
PS-226は、PS-2262のカウンターダイヤル付ニードルバルブで塗布量を調整します。直感的な操作が可能です。PS-2262は、PS-226に積み上げて使用します。 カウンターダイヤル付ニードルバルブは、6個まで組み込むことが可能です。

ノズル監視
PS-228/226では、プレス装置およびノズルのONOFFに連動してセンサ出力を受け付けます。ノズルまたはグループ単位での流量監視が可能です。

上図のように、電磁バルブL1~3の総流量およびL4~6の総流量をそれぞれ流量センサFL1およびFL2で監視します。
- プレス連続運転により塗布が開始され、L1~6の電磁バルブが作動、FL1およびFL2の検出流量が上昇します。プレス連続運転開始直後は、FL1およびFL2の設定した流量範囲外のため、FL1およびFL2のセンサ出力はOFFです。このときPS-228および226は検出遅延時間内のため、センサ出力は監視しません。
- FL1の設定流量範囲にはいると、FL1のセンサ出力がONになります。
- FL2の設定流量範囲にはいると、FL2のセンサ出力がONになります。
- 検出遅延時間が終了し、PS-228/226はセンサ出力を監視します。
- 検出遅延時間が終了し、PS-228/226はセンサ出力を監視します。
- PS-228/226は流量異常として、内部の停止出力リレーを介してプレス装置を停止させます。
バンク/ノズル選択
PS-228では、PLCなど外部から端子台へ信号を入力することで、バンクを変更することができます。 PS-226では、使用するノズルを選択できます。金型ごとに塗布条件や、使用するノズルを変えたりすることが可能です。

リセット/ロック
PS-228/226では、外部から端子台へ信号を入力することで、異常状態のリセット(RESET)および操作禁止(LOCK)が可能です。 操作禁止は、PS-228ではリセットおよび矢印ボタン、PS-226ではリセットボタン以外のボタン操作を禁止します。不要な操作を防ぐことが可能です。

ノズル
PS-228はST8PL-1.0およびAUX、PS-226ではST8-0.5、1.0およびAUXを使用できます。

PS-228で使用するノズルST8PLは、ピストンレス(Pistonless)構造です。 PS-228では、電磁ポンプおよびバルブで塗布のONOFF、流量の調整を行うため、ノズルでの先止め、流量調整用の絞り機構が不要です。 そのため、ノズルはコンパクトでメンテナンスフリーを可能にします。PS-226では使用できません。

加工油はノズル先端で霧化され、さらに塗布形状が楕円になるようにエアで調整されます。 先端の平吹キャップを回転させることで、塗布形状を回転させることができます。

塗布幅は、ノズルとターゲット間の距離、塗布量、霧化エア圧で変わります。下表は目安です。

AUX
AUXノズルは、ノズル先端で霧化した加工油をφ6チューブで金型内に直接給油を行います(※)。加工油の動粘度が10㎟/s以下で塗布量が少ない場合に使用できます。

*金型にはφ6用チューブ用の継手が必要です。
PS-228の場合、AUXノズルを使用せずに電磁ポンプおよびバルブからφ4チューブで直接給油が可能です(※)。霧化が不要な上型等に利用できます。

*金型にはφ4チューブ用の継手が必要です。ノズルを使用しないので、別途チューブのみ手配が必要です。
チャンバー (C□□□)
噴霧チャンバーは、加工油飛散防止のため(*1)、チャンバーに固定されたノズルでチャンバー内を通過する材料に塗布を行います。チャンバーにはST8-PL、ST8-0.5/1.0を取り付けることができます。チャンバー内に溜まる加工油は、廃液チューブにより排出されます。オプションで廃液タンクを選定すると、チャンバーからの廃液を回収(*2)することができます。
チャンバーは側面に固定用のM6またはM8ナットが溶接されています。それらを使用してチャンバーを固定してください(*3)。

(*1)完全に飛散を防ぐものではありません。
(*2)回収した加工油をPS-228/226で再利用しないでください。フィルタ、電磁ポンプおよびバルブ、ニードルバルブ等が故障します。
(*3)チャンバーに固定用のブラケットは付属しません。お客様で準備をお願いします。
ターゲットの材料幅以上の塗布幅を持つチャンバーを選定します。2種類、3種類の加工油用のチャンバーは、ノズルの切り替えにより加工油を使い分けるため、取り付けられるノズル数が多くなります。
コード | ノズル数 | 塗布幅(mm) | 外形図 図番 | 概要 |
---|---|---|---|---|
C80A | 2 | 80 | 5210040B | |
C120D | 2 | 120 | 5210115 | |
C120EW | 4 | 120 | 5210126 | 2種類の加工油対応 |
C120FT | 6 | 120 | 5210130 | 3種類の加工油対応 |
C160C | 2 | 160 | 5210118 | |
C160CW | 4 | 160 | 5210120 | 2種類の加工油対応 |
C200A | 2 | 200 | 5210046 | |
C200CW | 4 | 200 | 5210123 | 2種類の加工油対応 |
C200ET | 6 | 200 | 5210133 | 3種類の加工油対応 |
C250 | 4 | 250 | 5210146 | |
C300G | 4 | 250 | 5210095 | |
C400G | 4 | 380 | 5210228 | |
C500E | 6 | 380 | 5210210 |

外形図を確認し、ブラケットを準備してください。ブラケットはチャンバーの取付位置がパスラインに対して調整できるように考慮してください。 また、チャンバー入口、出口の材料受渡で、材料の反りで引っ掛かりが生じないように材料ガイド等の設置も合わせて検討してください。
マグネットスタンド (00525/00524)
マグネットスタンドは、簡単にノズルを固定することができます。 材料の上下に塗布したい場合は2本アーム、片側のみの場合1本アームを使用します。ノズルのホルダー(φ10用)でアームに固定します。

設置時に金型やストリッパプレートに干渉しないことを確認してください。振動が大きいと少しずつ位置がずれることがあるため、注意が必要です。

ノズルスタンド (NS□□□-□□□)
ノズルスタンドは、ボルスタに固定して、材料に応じた塗布幅になる様にノズル位置を調整して使用します。

ノズルスタンドはベースとなるWを選択し、パスラインを考慮してHを選択してください。金型やストリッパプレートに干渉しないことを確認してください。

タンク
SUS製非加圧タンク(S20)
レベルゲージおよびフロートスイッチ付の非加圧用のSUS製板金溶接タンク(*)です。容量は20L(レベルゲージ範囲18L)です。給油口にSUS製ストレーナがあります。
フロートスイッチは、オイル切れで開になります。
受注生産のため、3ヶ月程度の納期がかかります。
(*)接液部のすべてをステンレスで構成したものではありません。


ポリタンク(P20/P10)
フロートスイッチ付の非加圧用のポリエチレン製タンクです。容量は10Lと20Lです。給油口にナイロン製ストレーナがあります。
フロートスイッチは、オイル切れで開になります。


SUS製加圧タンク(SPT20/SPT10/SPT5)
レベルゲージおよびフロートスイッチ付の加圧用のSUS製タンクです。
容量は5L、10L、20Lです。タンク圧を調整するために、タンク圧力調整ユニットが付属します。
SUS製加圧タンクのフロートスイッチとタンク圧力調整ユニットの圧力スイッチにより、オイル切れおよび圧力不足を検出します。
SUS製加圧タンクにはリリーフ弁があり、約0.6MPaを超えると排気されます。また、内圧がある状態で、蓋は外せない構造になっています。
SUS製加圧タンクでは0.4MPaまで加圧できます。低粘度から比較的高粘度(120㎟/s(cSt)以下)の加工油に対応します。SUS製加圧タンクの加温には対応していません。


PS-2261自給式加圧タンクユニット
PS-2261自給式加圧タンクユニットは、ポリタンク、ペール缶および一斗缶等から加工油をエア駆動ポンプにて小型加圧タンクへ汲み上げ、電気式レギュレータで加圧、圧送します。 動粘度が1~30㎟/s(cSt)の加工油で、非加圧タンクを使用したい場合に選定します。

PS-2261は、制御部、小型加圧タンク、エア駆動ポンプ、加工油フィルタで構成されます。特に指定がなければ、メインタンクにポリタンクを使用します。
空圧油圧回路

特長
電気式(電空)レギュレータは、機械式レギュレータと比較して10K~100kPaを高精度で調整できます。 小型加圧タンクへの汲み上げ時を除き、タンク圧制御による安定した送油が可能です。
特に絞り弁で塗布量を1ml/min以下に調整するとき、絞りすぎにより詰まりなどが発生し問題になりますが、 タンク圧力を下げることで、通過面積を確保しつつ塗布量を減らすことができます。
小型加圧タンク内にはフロートスイッチがあり、タンク内の液面低下を検知すると、 エア駆動ポンプで汲み上げを行います。 一定時間経過しても、フロートスイッチが復帰しない場合、加工油異常で停止出力が動作します。
このため、ペール缶や一斗缶を油切れセンサなしで加工油タンクとして使用できます。 さらに、小型加圧タンク内で気液分離を行うため、気泡の発生しやすい加工油にも使用できます。
PS-2261は24Vで動作します。PS-2261単独で流量センサの接続が可能です。 PS-228/226と同様にクラッチまたはカム信号から監視タイミングの作成ができるので、
PS-228/226と組み合わせた使用だけでなく、送油のONOFF用電磁弁などを別途準備することで、PS-2261単独での導入も可能です。
塗布指示信号の配線について
PS-228では、プレス装置のクラッチおよびカムに相当する信号が必要です。 クラッチ信号が無い場合、PS-228背面端子台で、クラッチをGNDに接続してください。カム信号から塗布指示信号を作成します。
カム信号が無い場合、内部の設定を変更することで、クラッチ信号のみで塗布が可能です。カム信号が必要な制御モードは使用できません。
PS-226では、プレス装置のクラッチまたはカムに相当する信号のいずれかを配線してください。
外形寸法図
PS228-L6v-SPT5ST01外形寸法図

PS228-L6p-S20SB01外形寸法図

PS228-L6p-P20D10SB01外形寸法図

PS228-L12v-SPT20SB02外形寸法図

PS228-L6p6v-P20SPT20SB02外形寸法図

PS226/2262-6c-SPT10ST01外形寸法図

PS226/2262-2c-2261P10ST01外形寸法図

仕様
PS-228 | PS-226 | |
---|---|---|
対応ノズル | ||
ST8PL-1.0/ST8PL-AUX | ● | × |
ST8-0.5/ST8-1.0/ST8-AUX | ● | ● |
ノズル、電磁ポンプ、電磁バルブ数 | 最大12 | 6 7以上は特注対応 |
ノズル監視センサ 接続数 | 6 | |
霧化エア調整用レギュレータ数 | 2 | |
入力 | 塗布指示入力、フロートスイッチ入力、制御入力、 バンク選択入力(PS-228)、ノズル選択入力(PS-226) (入力回路) ![]() |
|
出力 | 停止用出力、準備完了出力 (出力回路) 有接点出力 250VAC 30VDC 3A ![]() |
|
状態出力 (出力回路) 無接点出力 30VDC 100mA最大 ![]() |
電源 | 100~240VAC±10% 50-60Hz Max.150VA(PS-228) Max.50VA(PS-226) |
その他 | 供給圧力 | 0.4~0.8MPa | 使用周囲温度 | 0~55℃(使用中に急変のないこと) | 使用周囲湿度 | 35~85%RT(結露しないこと) | 使用周囲雰囲気 | 可燃性ガス、腐食性ガス、油煙、塵埃のないこと |